ヴィジュアル系の話

SMスナイパーでの前田毅さんと対談しているばるぼらさんが非常にうまく歴史をまとめていらっしゃるのでリンク。初期のヴィジュアル系を知りたい人には良いディスクガイドになっている気がします。
http://sniper.jp/300special_issue/3002feature/post_1645.php

ZI:KILLの「NO MORE TO SAY」って曲と、LUNA SEA「WISH」って曲は、“ビジュアル系”と聴いて連想するサウンドの原型を作ったんじゃないかと思ってて。聴けば分かるけど、ギターがガーッと鳴ってて、ビートはスピード感があって、歌詞は孤独感があって、メロディはポップで切ない、っていう。足りないものは何もない。




あと少女漫画とノヴェラは距離が近いんですよ。

前田:たとえば?

「最終戦争伝説」NOVELA 発売元=キングレコード 発売日=1983年
ばるぼら多田かおるの『愛してナイト』にノヴェラが出てくるし、ノヴェラのアルバム『青の肖像』のジャケは内田善美だし、山田ミネコの『最終戦争伝説』のイメージ・サントラやってるし……。第一次“やおい”ブームとの共時性を感じなくもない。あとノヴェラはプログレとして扱われるけど、初期は KISS(※註5)やクイーンの影響も強い。

前田:KISSの影響は大きいよね。

ばるぼら:KISSが1977年に来日した時に女性誌が「お化粧バンド」って形容したんですよ。ここから「お化粧」はキーワードとして90年代頭までずっと使われる。グラム・ロック(※註6)、ニュー・ロマンティック(※註7)、ダークウェイヴ(※註8)、LAメタル(※註9)、本田恭章(※註 10)、全部。これがルーツ探しの混乱の元かも。ウィラードなんてお化粧バンドを自称してたし。


ちなみに私はあまりノヴェラは好きじゃない、、、。

関西HR/HMにつながるシーンとして関西プログレがありますね。特にノヴェラ(※註4)の一部のメンバーはアクションやアースシェイカーに流れる。重要なのはノヴェラのファンのファッションで“ヴィオロン族”ってあるんだけど、あれはちょっとゴスロリの先駆っぽい。フランス人形みたいな服着て、ステッカー貼ったジェラルミン・ケースを持ち歩くという……。あと少女漫画とノヴェラは距離が近いんですよ。

ちなみに、「JUNE」とか「ALLAN」でボウイやツェッペリンが(マンガキャラ化&やおい化されて)理想の男性像として捉えられていたこと、その男性像を演じる(ないしは自らに投影する)バンドがあったことを考えると、少女文化とバンドシーンとが単に事実として併走関係にあったのみならず、深い影響を互いに与え合っていたと考えるのは難しいことではない。
ちなみに「ALLAN」の表紙はこちらのページとかで見られます。
http://www.mjakk.jp/gabacho/etc/allan.html
それから、ジュリーについては紹介しておきたい。沢田研二は「背が低いけど、ワルで美形」(そして化粧をしている)ということで、1960年代のGS以来、一貫して性規範を(少し)攪乱するアイドルとしてスターの座に君臨していた。ソフトバレエの結成にも重要な役割を果たしたデル・ジベットのISSAYしかり、また後に「特攻の拓」にも何故か名前が何度も出てくる黒夢清春しかり、イエローモンキーのロビンしかり*1、その影響を語る者は少なくない。

*1:ちゃんと調べたらもっとどんどん出てくるだろうけど、とりあえず適当に挙げてみた