スタジオジブリの広報誌(?)『熱風』の10月号を、最近縮小移転したブックファースト渋谷店にてゲットした。

テーマは『身体とメディア』ということで、押井守が「サイボーグになりたいから空手を始めました」と語る手記が収められている。空手を始めた理由は「これを最初で最後に、もう二度と書きません」と書いている。本当かな〜 押井守とサイボーグというとid:Projectitohさんを思い浮かべますが、もう読まれたのだろうか。ご感想を知りたいと思うばかりですが。

コミュニケーションの問題として身体を捉えるのは、実に妥当かつ、意外と見掛けないスタンスなので、押井氏の文章も興味深く読めた。もっとも、このスタンスだけならば、氏の『イノセンス』に関して考えるほうが普通だろう。

この押井氏の文章が興味深いのは、彼が自分の身体の、単なる欠落を前にした思考(イノセンスでの思考)ではなくて、他者に先立たれたり見放されたりして、関係性であるところの自分の身体がまったく失われてしまうのではないかという怖れを抱いて空手を始めるというところ。

空手によって、他者との関係においてではなく、「他者としての肉体」との関係において「身体」を再獲得する、という方法がそこで採用されるわけです。

そのあとに収められている平田オリザ氏の文章とか、ほぼ日イトイ新聞のスタッフの人の文章のほうが、より考えさせられる気もしたけれども。