日々充実してはいる
秋田昌美の『快楽身体の未来形』から
「アートは生の儀式だ」と言ったシュヴァルツコグラーは精神錯乱に陥り、1969年のある日、アパートの四階の部屋の窓から身を宙に浮かせた。
かれの死後、カッセルのドクメンタに作品が展示されたが、そこに来ていた女性ジャーナリストが雑誌にシュヴァルツコグラーはペニスを切ってスライスしたと書いた。「アートのために自殺した」という彼についてのジャーナリストの虚偽を、残ったウィーン派たちは否定しなかったという。それはアルトーから出発しながらも、アルトーの「せいの残虐さ、感情を剥き出しにした生の豊穣」といった「生の神話」についての虚偽を実感していた他のウィーン派の人々にとって、人々がこの二つの嘘をどのように受け止める事ができるのかというクエッションとして有効な宣伝効果であったからだった。
シュヴァルツコグラーの投身自殺はクラインの「虚空への跳躍」のもう一つのヴァージョンだったのだろうか。「生の神話」と虚偽の肉体はこの跳躍によって飛散する。肉体の確実性はどこにも存在しなかった。
(p.170-171)
関連リンク(グロ注意):
http://www.artnet.com/artist/15194/rudolf-schwarzkogler.html