生誕100年 靉光展 行ってきた。

http://www.momat.go.jp/Honkan/AI-MITSU/index.html
ずっと「ウンコウ」さんと読んでたが「アイミツ」さんだった。いや、昔から何度も過ちに気付いてそのたびに認識を改めるんだが、しばらく置くとすぐまた忘れてしまうのだった。
昔から気になってた日本人画家の一人だったので楽しみにしてたんだけど予想外に内容が濃くて、すっかり見入った挙句に疲れ果てた。図録買ったんだけど、印刷での再現が難しかったらしく、発色が全然違う。あと僕が展覧会嫌いなのは、絵をガラス板で挟んで光あてると自分が映りこんでしまったり、変に反射してよく見えなかったり、あと油絵だと絵の表面がそもそも反射してよく見えなかったりして、結局よく見えないことが多いからなんだけど、今回もそれを強く感じた。まあ重要なことではないんだろうけど。
シュルレアリストとして紹介されているのをよく目にするけど、作家のスタンスとして表現主義のほうが近いんじゃないかと思ったけどどうなんだろうか。
『キリスト(赤)』が、ピエタのマリアを消去して、代わりに横たわっていたキリストを無理矢理起こしてマリアの位置に入れたようだと思った。独特のポーズらしいので解釈が必要だと思う。聖書でどのシーンにあたるポーズなのかもよくわからないし、重力が四方のどっちに働いているのかも微妙な構図だったし。最晩年の濃厚な自画像と同じポーズ(というか展示されてたほとんどすべての肖像画のポーズ)と同じポーズだし。
図録で発色が気になったのは、なんといっても、かなり画家がコダワってそうな緑。青銅色なんだけど、図録だと青かただの緑になってた。
http://www.city.yokosuka.kanagawa.jp/museum/coll/09.html
↑で『グラジオラス』という作品が観られるけど、実物はもっと鮮やかな燐光色です。
あと帯絵が凄かった。ネットだと図像が見つからないので、足を運ばれた人は要チェック。

Born Again: Collected Remixes 1999-2005

Born Again: Collected Remixes 1999-2005

みたいなデザインを1935年に既にやってる。

画面から要素を抜いて空白の効果を巧く見せたり、支持体である和紙の楮とかを活かすのは、参考になった。また展示を見に行きたい。

ちなみに代表作みたいに扱われている『眼のある風景』は遠目にはさすがに圧倒的な作品だけど、近くで見ると大味であまり好ましくなかった。生き物や人物を描いた作品のほうが個人的には面白かった。ともあれ最晩年(38歳で死去)の自画像三作は重かった。眼鏡をかけた自画像の背景の梢の描き方がなんかココ(やっぱりスーテックが作品を出してるレーベル)の植物の使い方に似てて、時代がよくわからなくなった。画家の眼はどこに行ったんだ。そして最後の自画像の背景の沈みきった濁った緑。