欲望的生産

今回は重要なキーワードがたくさんでてきた気がする。かつ、上巻のここまで書かれてきたことを総括し、後半に続ける機能もあると思われる。読み返すときはここを起点にしてもいいかも知れない。

『アンチ・オイディプス』16日目 第三章 未開人、野蛮人、文明人 第一節 登記する社会体 欲望と生産の未開の原始的統一体とは、大地である。なぜなら大地はただ分割される多様な労働対象ではなく、また不可分な唯一の総体でもあり、自然的あるいは神的な前提…

『アンチ・オイディプス』14日目 第二章 精神分析と家族主義 すなわち神聖家族 第八節 神経症と精神病 私たちが言いたいのは、神経症であれ、精神病であれ、障碍の原因は、常に欲望的生産の中にあり、欲望的生産と社会的生産の中にあり、この二つの生産の体…

『アンチ・オイディプス』13日目続き 第二章 精神分析と家族主義 すなわち神聖家族 第七節 抑制と抑圧 欲望に近親相姦という歪んだ鏡を向けることによって(ほら、これがお前の欲していたものだろう)、ひとは欲望を恥じいらせ仰天させて、出口のない状況に…

『アンチ・オイディプス』13日目 第二章 精神分析と家族主義 すなわち神聖家族 第七節 抑制と抑圧 オイディプス的欲望は少しも抑圧されていないし、また抑圧される必要もない。それなのに、別の側面では、この欲望は抑圧と密接な関係をもっている。オイディ…

『アンチ・オイディプス』12日目 第二章 精神分析と家族主義 すなわち神聖家族 第六節 三つの総合の要約 問題はオイディプスが偽りの信仰であるということではなく、信仰が必然的に偽りのものであり、現実の生産を曲解し窒息させるということである。だか…

『アンチ・オイディプス』9日目 第二章 精神分析と家族主義 すなわち神聖家族 第三節 生産の接続的総合 第一の使用において欲望は、固定した一主体を、どちらかの性に特殊化された<私>を、そして包括的人物として規定された完全主体を同時に受けいれる。 …

キーワード オイディプス帝国主義、構造論的解釈かな。 いずれも精神分析批判だと思われる。いままで読んできたところで私が思うには、『アンチ・オイディプス』の長所は表面的にもそれとわかる精神分析批判ではなく、資本主義と分裂症の関連について「欲望…

『アンチ・オイディプス』読み始めて6日と一日目。 ほぼ一週間さぼってしまった。 今日からは第二章 精神分析と家族主義 すなわち神聖家族 第一節 オイディプス帝国主義 欲望的生産とは、欲望の諸機械のことであるが、これらの諸機械は、構造にも人物にも還…

『アンチ・オイディプス』6日目 第一章 欲望機械 第六節 全体と諸部分 ここで問題になっているのは、オイディプスとの関係において前オイディプス的(「前オイディプス的」に傍点)といわれるものが相対的にどれだけの重要性をもつかといったことではまった…

資本主義と分裂症 『アンチ・オイディプス』の副題として「資本主義と分裂症」とされているけれど、この副題の方により強く関連しているのが上記の「ヌーメン」と「ヴォルプタス」と呼ばれている概念なのだと思う。日本語の熟語に翻訳されていないことからし…

キーワード 欲望機械の第二の様式、および第三の様式に関して、<ヌーメン>と<ヴォルプタス>という概念が繰り返されているので、第四節までで<ヌーメン>と<ヴォルプタス>について述べられている部分を引用する。■ヌーメンに関して 「第二節 器官なき…

『アンチ・オイディプス』読みだして5日目 第一章 欲望機械 第五節 欲望機械 欲望機械は隠喩ではない。それは、三つの様式にしたがって、切断し切断される。第一の様式は接続的総合にかかわり、リビドーを採取のエネルギーとして動員する。第二の様式は、離…

あとがきから 今回は引用が少なかったので、宇野邦一による「訳者あとがき」から、興味深い部分を引用する。 シニカルな資本主義は、次々シニカルな思想を生み出すので、「器官なき身体」を「身体なき器官」によって脱構築しようとするような試みも生まれて…

キーワード 今回のキーワードは「分裂症」だろう。以下に引用するような箇所もあった。 自閉状態において人工化され人称化された分裂症者の病状である前に、分裂症は、欲望の生産と欲望機械のプロセスなのだ。なぜ、ひとはこのプロセスから病状の方に移って…

流れの脱コード化と社会体の脱領土化は、こうして資本主義の最も本質的な傾向をなすことになる。資本主義はこの自分の極限にたえず接近するのであり、これはまさに分裂症的なものである。資本主義は、器官なき身体の上で、脱コード化した流れの主体として、…

『アンチ・オイディプス』読みだして四日目 第一章 欲望機械 第四節 唯物論的精神医学 精神分析の偉大な発見は、欲望的生産の、無意識のもろもろの生産の発見なのだ。しかし、オイディプスの出現とともに、この発見はたちまち新たな観念論によって蔽い隠され…

今日のキーワード 主体、私、享受、プロセス、独身機械、強度〔内包〕量 といったところかな。なお、第一節の上記に引用したプロセスのくだりの原注でバタイユに触れられてたのでそれも以下に引用。 ジョルジュ・バタイユが、自然のエネルギーとのかかわりに…

第一章 欲望機械 第三節 主体と享受 「プロセス」ということばの意味にしたがうなら、生産の上に登録が折り重なるといっても、この登録の生産そのものは、生産の生産によって生みだされてくる。同様に、この登録に消費が続くのであるが、消費の生産は登録の…

キーワード

資本主義、パラノイア、離接、錯乱、三角形と二項関係かな。 離接についてはあとで調べたい。 ちなみに「器官」と訳されている語はorganでいいんだよね。有機体とか組織という言葉はorganism、organisationか。身体はcorpseかな。死体を指すときも同じ。

器官なき身体と資本主義

今回の「第二節」は、中盤の資本主義に関するくだりが意味不明だった。部分的には難しいとは思わなかったのだけれど、器官なき身体という概念が資本主義の説明のための概念なのか、あるいは資本主義に関するくだりが器官なき身体を説明しているのかが結局わ…

ドゥルーズ+ガタリ『アンチ・オイディプス』読み始めて2日目 第一章 欲望機械 第二節 器官なき身体 欲望機械と器官なき身体との間に、あからさまな戦いがまき起る。諸機械の接続、機械の生産、機械のノイズ、いちいちの場合にそれらは器官なき身体にとって…

ドゥルーズ×ガタリ『アンチ・オイディプス』を読み始めました。 第一章 欲望機械 第一節 欲望的生産 いたるところに機械があるのだ。決して隠喩的な意味でいうのではない。 乳房はミルクを生産する機械であり、口はこの機械に連結される機械である。拒食症の…

今日のキーワード 「器官なき身体」「機械」「死の本能」「欲望」「生産」といったところか。神の裁きと訣別するため (河出文庫 (ア5-1))作者: アントナン・アルトー,宇野邦一,鈴木創士出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2006/07/05メディア: 文庫購入: …

身体とイメージ 上記引用のなかで、「固有の身体そのものとは、身体のイメージとは無関係である」というくだりがやや不可解だと思った。また、「生産」についての話は私にはわかりやすい気がするのだが、そこでなぜ「器官なき身体」の話が挿入されてくるのか…